« オサムシ | トップページ | 四国カルスト天狗高原 灯火採集 今年2回目(2013年6月3日) »

四国カルスト天狗高原ライトトラップ 2013年5月16日


夕方、いつものコンビニで矢野さんと待ち合わせし、四国カルスト天狗高原へ向かう。

予定するライトトラップの場所は猪伏林道のいつもの場所だがここは本当に良いポイントで、四国カルストといっても広いのだから他にも良い場所はあるのだろうが、新規開拓するよりも確実にいろいろ採れるこの場所をついつい選んでしまう。

今日は少し遠出なので高縄や皿ヶ嶺などの松山近郊の採集地に行くときよりも少し早めに集合したが、道がすいていたこともあり松山から猪伏林道の麓まで一時間半ほどで到着した。


ここから林道をのこのこと登っていく。ど田舎なので対向車の心配はないが道が狭く、勾配の急な猪伏林道はなかなかスピードが出ない。短い距離で急激に標高を1300m近くまで上げていくので植林を抜けた林道の後半はかなりの勾配になる。

それにしても本当に日が長くなった。18時近くでもまだまだ昼のような明るさ。時間に余裕があるのでのんびりと上がっていく途中、ふと車の窓から山の上の方を見上げると、木々の切れ目に山の稜線に向かって伸びている林道の先が見え、そこに白い大きなものが見えた。


見えたのが一瞬だったので新しくできた大きな看板かと思ったが、いやいやこんなところに看板なんてなかったはず。


近づいていくとやはり灯火採集用の白幕だった。木枠でしっかりと組まれた白幕はかなり大掛かりで誘導用の水銀灯の高さは3m近くあった。幕が設置されていた場所は僕らが設置しようと予定していたまさにその場所だったのでちょっと笑ってしまった。こんなに山は広いのにね。



白幕の足元に発電機などと一緒に並べられた装備品の中に明らかに蛾の採集用の大きな毒瓶があったのできっと蛾屋さんなんだろう。だいたい他の虫を狙うにはまだちょっとだけ早い気がする。蛾屋だけはオールシーズン活動している。


白幕の傍らに車が止まっており、中で誰か寝ている。

話してみると、愛媛の蛾屋さんだった。この人が片岡さんか。初めてお会いした。

せっかくなので片岡さんの幕のそばで僕らもご一緒させてもらうことにした。

片岡さんは大変気さくな方で、初学者の僕らにも親切に蛾のことを教えてくれた。

お互いの幕を交互に行ったり来たりしながら見ていたが、ほんの100mほどしか離れていないのに来ている蛾に結構差があるのが面白い。



以下、この日見られた蛾の紹介。







Ellida_arcuata

ユミモンシャチホコ Ellida arcuata (Alphéraky, 1897)
うぉ!? いきなりユミモンシャチホコが飛んできた。この時期だけ見られる珍しいシャチホコガ。この日一番最初に幕にやってきたのがこれとは驚いたな。珍しい種類だが、この日はなんと全部で5頭も来た。ケヤキやハルニレを食べる種でちょうど近くで発生していたらしい。2年程前の同じ時期に皿ヶ嶺でも見つけているが、その時は翅が不自然に開いてしまってカッコイイ写真が撮れなかったので悔しかった。今回ようやく満足のいく写真が撮れた。追加の写真はこの日の日記の最後にEllida属の他の2種と合わせて載せておく。



Acosmeryx_naga_naga

ハネナガブドウスズメ Acosmeryx naga naga (Moore, 1858)
この日はこのスズメガがめちゃくちゃ多かった。常時10頭以上が幕の周りを飛び回っていた。大型のスズメガが来ると他の小さい蛾を蹴散らしてしまうのでちょっと困る。こちらの幕は本種で大賑わいだったが、少し離れただけの片岡さんの幕にはほとんど来ていなかったようである。不思議。




Anacronicta_nitida
ウスベリケンモン Anacronicta nitida (Butler, 1878)
綺麗だがど普通種。



Arichanna_tetrica_tetrica
キジマエダシャク Arichanna tetrica tetrica (Butler, 1881)
プライヤエダシャク Arichanna pryeraria Leech, 1891の間違いでした。


Belciades_niveola
アオケンモン Belciades niveola (Motschulsky, 1866)
渋い模様の美しい蛾。シナノキを食べるらしい。きっとこの近くにシナノキの大木が一本あるのだろう。そこからあのオオシロシタバも飛んできたに違いない。羨ましくて羨まして頭が禿げ上がりそう。


Cnethodonta_grisescens_grisescens
バイバラシロシャチホコ Cnethodonta grisescens grisescens Staudinger, 1887


Dindica_virescens
ウスアオシャク Dindica virescens (Butler, 1878)


Drymonia_basalis
ノヒラトビモンシャチホコ Drymonia basalis Wileman & South, 1917






Ellida_viridimixta
シロテンシャチホコ Ellida viridimixta (Bremer, 1861)
初見。ぜひ見たいと思っていた種類。これもシナノキを食べる緑色が美しいシャチホコガ。


Eustroma_japonicum
キアミメナミシャク Eustroma japonicum Inoue, 1986


Heterolocha_aristonaria
ウラベニエダシャク Heterolocha aristonaria (Walker, 1860)
この蛾は天狗荘の玄関の明かりで見つけた。天狗高原ではライトトラップだけではなく、天狗荘の明かりに来ている蛾を探すのも楽しみ。結構いろいろ採れて面白い。週末の宿泊客が多い日は夜の20時頃までレストランの明かりがついており、そこを探すとおびただしい数の蛾が見つかる。下手に灯火採集をするよりも良いものが見つかる可能性すらある。



Hypersypnoides_astrigera
シロテンクチバ Hypersypnoides astrigera (Butler, 1885)



Kentochrysalis_consimilis
クロテンケンモンスズメ Kentochrysalis consimilis Rothschild & Jordan, 1903
ケンモンガをはじめケンモン(剣紋)と名前に付く蛾は多い。このスズメガの場合、前翅に見られる細長い黒い模様を指していわゆる「剣紋」と言うようだ。種類が多いせいもあるのだろうか、蛾の名前は味気ないものが多いと思うのは気のせいだろうか。覚えにくくて困る。変に凝った和名をつける分類学者はもっと嫌いだから別にいいけど。



Latirostrum_bisacutum
テングアツバ Latirostrum bisacutum Hampson, 1895
天狗高原産のテングアツバ。色といい形といいスルメにしか見えない。



Lithophane_remota
アメイロホソキリガ Lithophane remota Hreblay & Ronkay, 1998



Macroglossum_saga
クロホウジャク Macroglossum saga Butler, 1878
ホシホウジャクと迷ったが、前翅の先端部分にある黒い紋が長方形状に完全に独立していない感じだったので本種とした。



Mimopsestis_basalis
ネグロトガリバ Mimopsestis basalis (Wileman, 1911)



Mythimna_radiata
フタテンキヨトウ Mythimna radiata (Bremer, 1861)


Peratostega_deletaria_hypotaenia
ヤマトエダシャク Peratostega deletaria hypotaenia (Prout, 1930)


Pterostoma_gigantinum
オオエグリシャチホコ Pterostoma gigantinum Staudinger, 1892
よく見る普通種だがカッコイイのでいつも写真に撮ってしまう。


Somadasys_brevivenis_brevivenis
ギンモンカレハ Somadasys brevivenis brevivenis (Butler, 1885)
同じく毎度写真に撮ってしまう普通種。



Syntypistis_cyanea_cyanea
オオアオシャチホコ Syntypistis cyanea cyanea (Leech, 1889)



Tanaorhinus_reciprocatus_confuciari
カギバアオシャク Tanaorhinus reciprocatus confuciarius (Walker, 1861)



Thyas_juno1
ムクゲコノハ Thyas juno (Dalman, 1823) その1
夏の蛾だと思っていたが4月から見られる。この日やってきたのは色の薄い種だったが、夏に出るものは前翅も後翅ももっと濃い色をしている。下の写真参照。


Thyas_juno2_2
ムクゲコノハ Thyas juno (Dalman, 1823) その2
2012年9月に天狗高原のまったく同じ場所で見たムクゲコノハ。色がぜんぜん違う。どちらかと言えばこちらの色のイメージが強い。


Xestia_cnigrum
シロモンヤガ Xestia c-nigrum (Linnaeus, 1758)


さて、ダラダラと撮影を続けて深夜0時半頃に撤収を開始。1時過ぎには荷物をまとめて天狗高原を出発した。

この日は雲ひとつない晴天で、灯火採集向きの天候とは言えないが、空を見上げると星がとても綺麗だった。天気が異常に変わりやすい四国カルストでこれだけいい天気だったのは珍しい。星の撮影もやりたいな。


さて一時間ほどで今度は久万高原町のコンビニに到着。


休憩がてらこのコンビニの明かりを覗くのも楽しみのひとつ。


数は多くなかったがポツポツと蛾が来ていた。



Viminia_rumicis
ナシケンモン Viminia rumicis (Linnaeus, 1758)


Ellida_branickii_2
クロテンシャチホコ Ellida branickii (Oberthür, 1880)



Ericeia_pertendens
ウスムラサキクチバ Ericeia pertendens (Walker, 1858)


Marumba_gaschkewitschii_echephron
モモスズメ Marumba gaschkewitschii echephron (Boisduval, 1875)



以上が今日の成果。

全体としてはなかなかよかったのではないかなと思う。蛾の数自体は少なかったが大型のスズメガやシャチホコガが何種類も来ていたので満足度は高かった。

Img_3341








Genus_ellida
この日見られたEllida属の3種類比較。

|

« オサムシ | トップページ | 四国カルスト天狗高原 灯火採集 今年2回目(2013年6月3日) »

写真:白バック」カテゴリの記事

昆虫採集」カテゴリの記事

コメント

私も片岡さんとは何年か前並んで幕を張りました。私が橋の上で、片岡さんが矢野ポイントでした。向こうは蛾でこちらは甲虫ですので、お互いに何度も行き来して、楽しかったです。

投稿: KAGE | 2013年6月 1日 (土) 20時57分

愛媛の蛾屋さんでそういう方がいるということだけ知っていましたがこの日初めてお会いしました。すごい気さくな方でびっくり。僕らも楽しかったです。
そうか、あの場所は矢野ポイントって名前なのか。

投稿: たきぽろりん | 2013年6月 1日 (土) 23時36分

こんばんは。もうシーズン真っ盛りって感じですね。たきぽろりんさんのブログは、鮮明な画像と解説付きですので興奮します。特に、展翅された図鑑の画像ではなく、幕にきた蛾のそのまんまのとまり方を写しているので、私にとっては随分と役立ちます。この夏、天狗でお会いしましょう。

投稿: 青春光夫 | 2013年6月 2日 (日) 18時53分

本当に日に日に虫の数が多くなってくるのを感じます。現在は春の蛾が終わり、初夏の蛾や、気の早い夏の蛾が登場してきています。昨晩も天狗高原に行きましたが虫の数がかなり多く賑やかで楽しかったです。今年の夏はぜひお会いしましょう。

投稿: たきぽろりん | 2013年6月 4日 (火) 14時27分

いつも美しい蛾の写真を拝見させていただいてます。
ところで、今回の記事のナシケンモンと同定させている種ですが、クマモトナカジロシタバのように思われますが、どうでしょうか?

投稿: モス | 2014年2月 4日 (火) 19時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1211306/51858506

この記事へのトラックバック一覧です: 四国カルスト天狗高原ライトトラップ 2013年5月16日:

« オサムシ | トップページ | 四国カルスト天狗高原 灯火採集 今年2回目(2013年6月3日) »