愛と憎しみのカタグロチビドロバチ Stenodynerus chinensis (Saussure, 1863)
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先日の続き。標高2,300mの真夏の高山帯で撮影した虫の紹介。
ニホンヒキガエル Bufo japonicus japonicus Temminck & Schlegel, 1838
山荘の灯りで。あれ?さっきまでそこに転がっていた蛾がいないな?と思ったらシレッとこいつが食べてた。こんな高山帯にまでいるのか。
ゴマシオキシタバ Catocala nubila Butler, 1881
飛翔力が非常に高く、下のブナ帯からこんな高山まで飛んで来る。
ミヤマチャイロヨトウ Mesapamea hedeni takanensis (Marumo, 1932)
四国には分布しない。高山蛾とは言えないが、標高の高い山地の蛾。
ミヤマハガタヨトウ Mniotype bathensis (Lutzau, 1901)
同じく四国には分布しない。こちらも高標高地で得られる。
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今年の夏の旅行は長野県の白馬方面に行こうと昨年から決めていた。
本当は昨年の夏の旅行で白骨・上高地方面に行った際、ついでに白馬方面も行く計画もあったのだが、時間的なロスが大きく、少なくとも白馬で夜間に灯火採集をするのは難しかったため断念し、二年越しの計画実行となった。
初日は直接白馬に向かわず、富山県側から立山に寄り道。立山黒部アルペンルートを使って黒部ダムに観光に行く。
麓の立山駅(標高475m)の駐車場に車を止め、まずは立山ケーブルカーを使って美女平へ。美女平(標高977m)からバスに乗り換え、弥陀ヶ原(標高1,930m)を経て終点の室堂(2,450m)へ。室堂からはトロリーバス、ロープーウエイ、ケーブルカーを乗り継いでようやく黒部ダムへ。黒部ダムを観光した後は室堂まで戻り、そこからバスで10分ほどさらに戻ったところにある天狗平で宿泊、灯火採集を行った。
天狗平の標高は2,300m。立山登山の拠点である室堂(標高2,450m)から少し下がったところにあり、室堂までは歩いて行くと30分ほどの距離。室堂とこの天狗平との間の区間の一部に冬季に雪が猛烈に吹き溜まる箇所があり、そこが「雪の大谷」としてGWなどに観光名所になっている。立山黒部アルペンルートと聞くと両側から迫ってくるようにそそり立つあの雪の壁を思い浮かべる人が多いと思うが、あそこである。過去最高は13mの積雪量で、今年は少なかったとのこと。山小屋の人に最近は台湾からの観光客がすごく多いと聞いた。
天狗平の周辺は森林限界の上にあり、背の高い木はまったく見られず、ハイマツと高山植物の生い茂る草原になっている。この天狗平の少し下に位置する弥陀ヶ原(みだがはら)一体は「自然公園法」の特別保護地区に指定されており、一切の昆虫採集ができないが、この天狗平周辺と室堂周辺は特別保護地区の指定から外れている。私は虫の写真が撮りたいだけであり、いわゆる所有を目的とした捕獲行為を一般論的な昆虫採集と定義するならば、これを一切行っておらず、最近ではるろうに剣心なみに「殺さず」を貫いている。ただそれでも特別保護地区内でのライトトラップは問題がある。一切採集・捕獲を伴わず、カメラによる撮影だけだったとしても、蛾を意図的に誘引する行為によって偶発的にでも蛾の鱗粉に傷ついてしまえば、その時点で違法と解釈される可能性が高い。厳密に言えば特別保護地区内は人間が存在するだけで法律違反になるし、本来そうあるべきなのだが、実際はそうはなっていないのが不思議な話だ。上高地でアリを踏み潰さずにいったい何メートル歩けるだろうか。このあたりは疑問に思っている人も多いが、まあだましだましやっていっているわけで。
夕暮れ、赤く染まる天狗平の平原を散歩していると、富山湾からせり上がってきた猛烈な量の水蒸気が霧になり、あっという間に一面真っ白になった。天狗平から見上げると、眼前、立山の巨大な山塊とともにその彼方になんとも猛々しい威圧的な様相の山が見えた。その天に向かって突き上げる要塞のような山は新田次郎の小説で有名な劔岳だった。
夕食後にお風呂に入った後、天狗平荘のすぐ裏でライトトラップを行った。この高度で灯火採集をするのは初めて。何が飛んで来るのか想像もつかない。
持ってきた装備はカメラ用バッグに詰め込むことのできた20Wの誘虫ランプ2灯とリチウムイオンバッテリ。他には撮影兼用の小型三脚とサテン地の小さな白布のみの簡易装備。
夜の8時に点灯を開始し、2時間半ほど蛾の撮影を楽しんだ。夕暮れに軽くガスっていたためか気温が思ったよりも下がらず、満天の星空のもと予想外にたくさんの蛾がやって来た。
ただやはり持ち物の中に蚊帳を含めるべきだった。どうしてもかさばるためいつも使っている赤ちゃん用の蚊帳は持ってこなかったのだが、あの蚊帳は灯火採集時に非常に重要なもので、あれがないと虫が飛んできてもほとんど周辺に散ってしまってわからなくなったり、そのまま飛び去ってしまう。また普段使っている、やって来た虫への簡易麻酔用の炭酸ガスのボンベを置いてきてしまったのも致命的だった。虫が来ないのであればまだしも、思ってきたよりもたくさんやってきた蛾を効率よく撮影していくにはこれらの装備は不可欠だったが、ないならないでまあいい。のんびりと、撮れるように撮っていく。蚊帳の件は今後の課題にしよう。機動性を優先する場合、蚊帳ではなく、食卓の上で使う「蠅帳」の大型のものが良いかもしれない。
以下、真夏の高山帯で撮影した虫の紹介をしていく。
オオシマカラスヨトウ Amphipyra monolitha surnia Felder & Rogenhofer, 1874
アカモクメヨトウ Apamea aquila oriens (Warren, 1911)
いくつかの高山蛾を含むアパメア属。本種は四国でも高標高地で得られている。
ムラサキキンウワバ Autographa buraetica (Staudinger, 1892)
本州の山地でのみ得られている。今回観察された写真の個体はかなり擦れているが、本来はもっと綺麗な紫色をしている。近縁のオオムラサキキンウワバも同じく
本州以北の山地で得られ、こちらの方がより大きく美しい。
オオムラサキキンウワバ Autographa amurica (Staudinger, 1892)
参考。こちらは今回立山で得られたものではなく、昨年岐阜県と長野県の県境にある安房峠(標高1,790m)で得られたもの。
ミヤマウスギンツトガ Crambus hachimantaiensis Okano, 1957
ウスベニアヤトガリバ Habrosyne dieckmanni roseola Matsumura, 1909
ムラサキミツボシアツバ Hypena narratalis Walker, 1859
アルプスギンウワバ Syngrapha ottolenguii (Dyar, 1903)
名前も見た目もいかにも高山蛾という感じ。
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土曜日は昼間、須崎でやっていたゆるキャラ祭りに行った。
夕方、迷ったが灯火採集に出かける。
8月は富山・長野への遠征以降思うように灯火採集に行けず、どんどん心が衰弱していっているのを感じた。
家で眠ることで体は休めることができても、結局虫採りに行かないことで心が疲れていってしまうため、どんな状況でも定期的に虫採りに行くことで心を正常に保っていかなくてはいけない。
ちょうど同じこの時期、2014年は名野川越(標高1,380m)、2015年は白髪峠(標高1,300m)でライトトラップをしている。なので今年は少し標高の低い場所へ行こうと思い、今年3回目となる高の瀬峡(標高600m前後)へ。
出たのが遅く、ついた時にはすっかり暗くなっていたが、そこから深夜まで気温は20℃前後と高く、虫の飛来もそこそこで楽しいライトだった。
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引き続き、土佐山田町標高420mでの真夏のライトトラップで得られた昆虫の紹介。今回で三回目で最終回。
ウスクロスジツトガ Chrysoteuchia diplogramma (Zeller, 1863)
アシブトヒメハマキ Cryptophlebia ombrodelta (Lower, 1898)
センダンヒメハマキ Loboschiza koenigiana (Fabricius, 1775)
モモイロツマキリコヤガ Lophoruza pulcherrima (Butler, 1879)
ヒメエビイロアツバ Maguda suffusa (Walker, 1863)
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土佐山田町標高420mでの真夏のライトトラップで得られた昆虫の紹介。今回で二回目。
マツアトキハマキ Archips oporana (Linnaeus, 1758)
フタマタシロナミシャク Asthena ochrifasciaria Leech, 1897
コウモリガ Endoclita excrescens (Butler, 1877)
不気味な妖怪のような蛾。雌だったらしく、刺激を与えたら極小ビーズ状の卵を鬼のように産卵し始めた。
アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata (Motschulsky, 1866)
カバイロモクメシャチホコ Hupodonta corticalis Butler, 1877
クシヒゲシマメイガ Sybrida approximans (Leech, 1889)
ボロ個体。たぶんメス。
同じくクシヒゲシマメイガ Sybrida approximans (Leech, 1889)
こちらもボロ。こちらの発色が良いほうがたぶんオス。
タテスジシャチホコ Togepteryx velutina (Oberthür, 1880)
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7/31は昆虫学会の四国支部大会が高知で開かれるとのことで久しぶりに参加してみた。場所は土佐山田町の穴内川ダムの近くにある高知大学の実習施設。細長いダムサイトの道を延々と走り続け、本当にこの先に建物があるのかと不安になりつつもようやく到着。市内からそれほど離れていないのに意外と時間がかかった。学会発表後、夜は施設前でバーベキューをしながら灯火採集を行った。
今回は自分の灯火機材は持ち込まず、高知大学の昆虫学研究室が用意してくれた灯火セットを横から覗かせてもらった。
施設のある場所は標高420mほど。周囲は見た感じ植林が多く、あまり良い環境には見えない。少なくとも自分一人で来ていたらあえてここでライトトラップをしようとは思わないだろう。しかし実際に灯りをつけると意外と多くの虫が集まってきた。学会にかこつけて酒を飲むつもりで来たのでこれは嬉しい誤算だ。人の幕に横入りし、黙々と写真を撮り続けた。
以下、得られた昆虫の紹介。
オオスジコガネ Anomala costata (Hope, 1839)
オオシマトビケラ Macrostemum radiatum (McLachlan, 1862)
シャクドウクチバ Mecodina nubiferalis (Leech, 1889)
オガサワラカギバ Microblepsis acuminata (Leech, 1890)
コミスジ Neptis sappho intermedia W. B. Pryer, 1877
ムクツマキシャチホコ Phalera angustipennis Matsumura, 1919
キスジハネビロウンカ Rhotana satsumana Matsumura, 1914
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引き続き、高の瀬峡の灯火採集(今季二回目)で得られた昆虫の紹介。今回で七回目でようやく最終回。
フタイロコヤガ Acontia bicolora Leech, 1889
クロハナコヤガ Aventiola pusilla (Butler, 1879)
ナガゴマフカミキリ Mesosa longipennis Bates,1873
ウスキコヤガ Oruza brunnea (Leech, 1900)
ニイニイゼミ Platypleura kaempferi (Fabricius, 1794)
ヒメホソナガクチキ Serropalpus filiformis (Marseul, 1876)
ギンモンスズメモドキ Tarsolepis japonica japonica Wileman & South, 1917
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引き続き、高の瀬峡の灯火採集(今季二回目)で得られた昆虫の紹介。今回で六回目。
クリイロクチキムシ Borboresthes acicularis (Marseul, 1876)
ネアカヒシベニボタル Dictyoptera speciosa Ohbayashi, 1954
アカマエアオリンガ Earias pudicana Staudinger, 1887
ツヤアオカメムシ Glaucias subpunctatus (Walker, 1867)
カタシロゴマフカミキリ Mesosa hirsuta hirsuta Hayashi, 1965
カタシロゴマフカミキリ Mesosa hirsuta hirsuta Hayashi, 1965
シロフクロケンモン Narcotica niveosparsa (Matsumura, 1926)
ヒロオビオオエダシャク Xandrames dholaria Moore, 1868
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